Brunnensteinの日記

底辺アカデミアの日常

栄光ゼミナールでバイトしてた話

私は中学受験の際に栄光ゼミナールに通っていました.

塾は楽しかったし,私は大学受験の挫折で,子供の教育というものに

すごい熱意を持ってました.

学生で講師ができるなら,とても名誉あるアルバイトだと思っていて,

大学1年になるときに栄光ゼミナールでバイトを始めました.

応募するときに,電話で〇大ですと伝えると

うちは東大京大の次に早慶が多いんですけど,〇大でも大丈夫ですよ.

と電話口の人に言われました.

俺たちスゲーエリート集団ですアピールなんですかね.

入ってみて思ったのですが,東大生なんて一人もみませんでしたし

聞いたこともない大学の人も結構いました.

なんなんでしょうこれ.

最初のころは初めての仕事ということで一生懸命やっていました.

 

面接のとき,聞いたことのない大学の人と2人で受けたのですが

そのもう一人の人に

「〇大?どこそれ?聞いたことないわ」

と室長がいっていて,めちゃくちゃ感じ悪かったです.

〇大がどんな大学であるか説明しようとする少年に

「しらないしらないしらなーーーい」と答える室長.

18歳で〇大に入りたての少年が学歴差別を味わうにはあまりにも早すぎるのではないでしょうか.

私にはめちゃくちゃ感じがよくて,即採用になりましたが

この室長はなんかやべえなと感じました.

入ってみれば,知名度の低い大学の人はたくさんいました.

その中にも序列があるということでしょうか・・

室長はどこ出身なのやらと思います・・

 

はじめにおどろいたのは,グループ授業を持っている人でさえも,多くが

学生バイトということです.

私が小学生の時教わってたあの人もあの人も,大学生だったのかあ.と思いました.

確かに一流の講師をあの少人数指導でそろえられるはずありませんもんね.

それなのに

指導の仕方を教わることもほぼ一切なく,(シラバスはありますが)

誰かがどんな授業をしているか見に来ることもありません.

完全に,その先生の個人の力量にかかってしまっています.

東大の学生に家庭教師を頼むのはわかりますが

塾の先生だと思ってる人が

謎大学の18歳で,自分の子供の受験科目が受け持たれているのを知ったら

親はショックですよね..

大学生であることをいうのはNGでしたし,後ろめたいことをしている自覚はあるのでしょう.

まあ社員さんも考えて人選はしてるんだと思いますし

私は私でそこそこ授業には自信がありましたが,

それほど人が足りないのでしょう・・

 

Brunnensteinさんにはいつかここで正社員になってほしい

と始めて間もない時期から言われました.

ありがたいとは思いましたが,正直そうはなりたくなかったです.

同じようなことを言われて,必要とされていることに舞い上がって

すごいやる気に満ち溢れている学生バイトがたくさんいました.

一部は体育会系の部活のようになっていました.

部活なら,お給料が発生しなくても関係ないという寸法でしょうか.

そういう人を,スゴイ!エライ!最高!見習って!

という風潮です.

保護者会やら,親への電話対応やら,サービス個別指導などを

張り切ってやるように促されました.

立派な社員になれるぞ~★

というノリです.

三菱商事マッキンゼーの社員になれるならさておき

なぜ栄光の社員になるためにサービス労働をする必要があるのでしょうか・・

全然うれしくありません.

なめとんのか.と内心思ってました.

 

あれはなんだったのだろう・・

と思うのですが,なんとバイト講師の更新率が社員の報酬に関係しているらしいです.

(ネットの掲示板で絵みただけなのであれですが)

そのまま社員にできれば,さらに良いということらしいです.

そういうわけだったのですね.

のめりこんだバイト講師はよく留年していました.

基本的にいい人なのだと思いますが,変な人が多かったです.

独特の自信と威圧感にあふれた人が多く,アウトローな営業に向いてそうな人たちです.

塾講師ってのは生徒を威圧できたほうがいいわけです.

未熟な18歳から人の上にたって持論をまくしたてることを許されているわけです.

それが気持ち良いと思える人が残る印象です.

修士の研究室の時も一人後輩が塾講師になりましたが,かなりヤバイやつで

任侠ものの映画が好きで,恐ろしい目つきをしていて

つまらないことで先輩につかみかかって大声をあげながら殴ろうとしたという伝説を残していて

あ~塾講師っぽいな~..とおもいました.

宗教ってこんなかんじなのかもなと思いました.

今思えば何もわからない学生をおだてて,働かせてたんだな~と思います.

悪いことばかりでもありませんでしたが・・

若者がバイトにかける正義感や熱意というものは確かにあって,それはプライスレスです.

それに生徒は結構かわいいので,お金と関係なく頑張らなきゃと思うんですよね.

生徒は生徒で,お兄さんお姉さん先生が好きなわけです..

それを利用する企業形態なんだなあとおもいます.

それがなきゃ成り立ちません.

わたしは,本業がほかにあるわけで,うんざりしてしまいました.

生徒の成績があがらないと,残念な顔をされ

もっと頑張ってほしい,残念だわ,

などといわれます.

終電すぎもミーティングがあり

男性社員に送ってもらうわけですが,それもなんか嫌な雰囲気でした.

はじめは熱意をもってやってたわけですが,気持ちがなえてきました.

生徒を難関校に合格させる責任をバイト講師が負うというのは普通じゃないと思います.

おそらく社員もそこまで期待してないかもしれません.

うまくやってくれれば儲けものといったところでしょう.

そこで,バイト講師がこの世の労働基準を何もわかってないことをいいことに

その精神的責任を負わせ,馬力を引き出そうとしているわけです.

しかも,方針が決まっていることではなく

お前が工夫してミラクルな授業をやって生徒にやる気をださせて

どうにかしてくれよ,という指示なわけです.

バイトは,その時間帯をマニュアル通りに働けば

問題ないシステムにしないといけないと思います.

少なくとも,趣味を兼ねたバイトでないならそういうものを選ぶべきです.

実際のところ,バイトで経験をしたいという気持ちを持つ大学生は多いので

こういう使われ方をするわけです.

私もそうでしたが,今まで経験したバイトで一番搾取された感があります.

そのぶん時給は普通のバイトよりはちょっと高めなので,初めてバイトする大学生には大金と思ってしまうのですが

滞在時間で考えれば普通のバイトと同じだし,

あんなはした金でプロ意識を持てという風潮は笑えます.

これは賃金の対価にしている労働である,という認識が曖昧です.

一回やってみるのはいいと思いますが,労働を労働と割り切っているところのほうが

クリーンな雰囲気で働きやすかったです.

保護者会にも出されますし,授業を病欠することも許されません.

18歳で初めてバイトするのに,プロ意識を求められます.

プロを最初から雇ってほしいと思います.

栄光のCMのきれいごとをみると,なんか違和感です.

社員さんはほんとに大変なんだなとは思いますけども.

小学生の時,教えてくれた先生も

ほんと一生懸命やってくれたな,と感謝の気持ちはありますけども.

自分がやってみて,改めて,このブラック環境であんなやってくれたなあ.

と感謝しました.

 

負担が大きいし,ここの空気も好きになれなかったので

やめることにしたのですが,やめるまでも大変でした.

責任をもって最後までみてほしいだのと言われ,

なかなかやめさせてもらえません.

こんな条件ではとても働けないとハッキリ言えばよかったのですが

10代の私にはなかなか難しいことでした.

なんとかやめれることになった際には

社員さんから冷たくされ

別の先生が私の悪口をいっていたことをわざわざ報告しに嫌味を

いってくる社員もいました.

フン,と思いましたが.

普通の社会人ならやらないようなぶっとんだ言動をしてくるんですよね~

 

思い返せば研究室などもそういうノリで若者から労働を搾取するところは多いわけで

若者って儚い生き物ですよね・・・

若くていいね,なんて言われるけど

そうでもなさすぎますよ!

っていうか,若くていいね,とおだてて搾取してるよね!

 

30歳になったいまでもたまにあの塾の校舎の夢をみます.

親が私のために講習をとっていて,私はそれを受けなきゃいけないのに

何回もすっぽかしていたという設定なのです.

そして,知らない人とバイト講師ばかりの,あの独特の居心地のよくない空間に

ドキドキしながら向かう夢を見ます.